
32回のフェテとレニャーニ
ピエリーナ・レニャーニはイタリアから帝政ロシアに客演したスターのなかの最後のバレリーナとして、とても役割は大きかったと言われています。
彼女は俳優ではなく、目も眩むような技巧
と欠点のない正確さを備えたバレリーナだったと評価されています。
彼女が『白鳥の湖』の蘇演で演じた32回のいわゆるグラン・フェテ・アン・トゥールナンのアン・ドオールとアン・ドダンの交互のパは現在も評価が分かれるようですが、伝説になっています。
彼女の失敗することのないフェテに観客は熱狂し、その数を数えては万雷の拍手を贈ったそうです。
しかし、これを冷ややかな目で見ていた評論家スヴェトロフはフェテについてこう述べています。
古典的なステップの量と複雑さは最近増大するばかりだ。
力量のある踊り手が32回もの多くにわたって演じることのできるフェテなどは軽業か体操の領域に入れるべきものである。
かりに32回のフェテの代わりに、踊り手が48回、64回、あるいはそれ以上演じることができたとしたら、何が起こるだろうか。
人間は機械になるだろう!と。
今日踊り手たちは48回や64回ものフェテを演じられるが、幸い機械にはなっていない。
というのはこのパがもはや例外的なものではなく、振付師がこれを使っています。クラシックバレエ1つとして。
ニャーニが世間を驚かしたフェテが、果して『白鳥の湖』でドラマを一段と盛り上げる効果を果たしたかどうか、確かな記録は残されていないが、王子を眩惑し、同時に観客を眩惑させたことは確かだと思います。
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